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あい基金フォーラム2019『地域の未来を創る女性たち ~課題先進地 東北被災地が変わる~』 開催報告

あい基金フォーラム2019

『地域の未来を創る女性たち』~課題先進地 東北被災地が変わる~

2019年3月13日(水) 18:30-20:30   港区立男女平等参画センター リーブラ

 

3月13日(水)に、東北被災地で地域の担い手となり奔走する女性リーダーの皆様をお迎えし、あい基金フォーラム2019「地域の未来を創る女性たち」を開催しました。

東北被災地は、待ったなしに地域再生を迫られる現場であり、その再生の原動力となる地域コミュニティづくりに欠かせないのは女性たちの力です。

あい基金も目指ししている、女性に投資することの意義とは何か。

女性に投資することでどのような地域の変化がうまれるのか。

パネルディスカッションでは、この問いに対して、被災地で地域の担い手となり奔走する、4名の女性リーダーの皆さんが、実体験を通じた想いを本音で熱く語ってくださいました。

またフォーラムの後半では、新しい参加型寄付者プログラム「あい基金ギビング・サークル」の創設についてご案内させていただきました。

 

■パネルディスカッション

<パネリスト>

石本めぐみ様 - 特定非営利活動法人 ウィメンズアイ 代表理事

 ウィメンズアイは2011年5月に設立。女性たちが自立的にボランタリーに始めた活動。日中、物資配布などを通じて訪れる避難所で多くの女性に出会った。その中で、公の場ではなく、個人的に女性たちがこっそりと、実は抱えている課題を教えてくれた。女性たちが声を上げづらいがために、課題が課題として認識されず、困難がさらに困難を呼んでしまう実態があった。その連鎖を断ち切ろうと、活動を始めた。活動を進めていくうちに、これは避難所だけの問題ではなく、地域や社会全体として、女性が声をあげられず、大事な意志決定に女性の声が届かないこと、さらには女性がその意思決定の場にいないことが課題であることに気付いた。以来、女性たちの自立を支援する活動を続けている。自分でやりたい!と思っている女性たちはたくさんいる。しかし、そうした地方にいる女性たちに資金がなかなか流れてこない。被災地にいる女性たちが取り組みたいと考えている、社会的事業のスタートアップや事業継続に必要な資金を生み出すことがとても難しい。被災地以外の人たちにできることは、女性たちが作り出した商品の販路を一緒に見つけ出したり、商品を購入したり、出資したり、新しいお金の流れを生み出すこと。

 

引地恵様 - 株式会社 WATALIS 代表取締役

 生まれ育った亘理町は、古くから養蚕が盛んであったことから、縫物など女性にとって手仕事が暮らしの一部になっている町。東京で就職し、しばらく企業で務めた後、地元に戻り学芸員となって働き始めたところ、あらためて地元の伝統や文化の素晴らしさに気づかされた。そんな中、東日本大震災が起こり、復興支援に携わる中で、地元の農家を訪れた際に、着物の残り布をつかって巾着を仕立て、その中にお米等を入れて御礼としてお返しするという”お返しの文化”を知った。感謝の気持ちを形にして贈るという前向きな生き方、”ありがとう”を探していく生き方に共感した。そこで、これを再現して商品化することで多くの方々に届けるとともに地域の女性の生き方を発信していきたいと考えたのが事業の始まり。事業を進めていく中で、地域の課題にも気付くようになった。高齢化、伝統文化の後継者不足、女性の就労の場が少ない、地域コミュニティの崩壊といった課題に対し、事業を通じて貢献できるように取り組みたいと考えるようになった。これまでに全国から着物生地を7トン以上集め、女性による手仕事で生まれた商品を国内外に届けている。今後の事業の発展として、不要品を再生し経済的付加価値をつけて売るというアップサイクルを文化にまで発展させていくこと、また地域の雇用を生み、地域の経済を回していきながら、地域ブランドをつくるということに貢献していきたいと考えている。自分自身も被災したが、もっと大変な状況にいる人たちがたくさんいたので、これぐらいでネガティブになってはいけないと心の葛藤を抱える時期もあった。被災して厳しい環境に置かれることで、逆にこれまで、自分も含めて、決断に迫られるということもなく、決まったことをやっていくという社会の中にいると気付かされた。ビジネスを進めていく中で、自分で考えて、自分で決めて、いいことも悪いことも含めて結果を自分で引き受けていくというプロセスを経ていくことは、自分にとっても大きな課題だった。それでも、自分で選択して、自分で引き受けていくという覚悟を持つ女性はたくさんいると気づいた。

 ”女性が女性を応援すること”は、できそうでなかなかできないこと。多様性を大切にする地域づくりを目指し、ともに何かを作り出せる取り組みを生み出していきたい。今後は地域商社的な販売をしていきたい。被災地の現状を伝えつつ、地元の良いものを打ち出し、発信していきたい。

 

藤村さやか様 - 株式会社 インディゴ気仙沼 代表取締役

 東京で事業を行っていたが、東日本大震災をきっかけに、宮城県気仙沼市で結婚し移住することになり、出産を経て現在に至る。気仙沼は被災し、過疎化が進み少子化が大きな課題となっている。市町村合併によって気仙沼自体は大きな市となったが、もともと子育てをする家族が少ない中、子育て世帯同士が出会う場がなくなってしまった。例えば、児童館の閉鎖や子どもの遊び場だった公園やグラウンドが仮設住宅地になるなど、地域の中で子どもや親たちが集まる場所がなくなっていった。そこで子育てサークルを立ち上げたのが活動の始まり。活動をする中で、自分たちが貧困ライン以下の世帯だということを認識するようになり、イベント運営だけでなく、収入を得られる活動もしようと考えるようになった。子育て中の女性や高齢女性の知恵を借りながら、“どのライフステージにいる女性も取りこぼさない”を目指し、現在は29歳から68歳までの6名の女性たちと事業に取り組んでいる。インド藍での染色受託、オリジナル商品の製造販売を行っており、天然染料100%でつくったママこだわりの素材が好評を期している。そのほか新規事業として、世界的にも希少価値の高いパステルという原料植物の栽培に挑戦している。自分にとっては、気仙沼は結婚して移り住んだ土地。震災後、みんなの生活は一変し、暮らしにくいと思ったこともる。でも、息子を生み育てていく気仙沼という土地を、自分たちの手で創っていくのだという想いで取り組んでいる。事業化していく過程は、自分で決めて判断して、その責任をよかろうと悪かろうと取っていくことであり、怖さもあった。同時に300の失敗から1の成功体験の素晴らしさも仲間と経験することができた。色々な生き方をしている女性たちが、自分たちの力でお金を稼ぐ体験ができる場を作っていきたい。これまで様々な人たちが手を貸してくれ、勇気づけられてきた。遠隔からでもサポートできることはあり、例えば営業資料作成、営業同行、経理や財務のサポートなど、一人一人が少しずつ関わることで、誰かの人生が大きく変わる可能性がある。

 

八木純子様 - 一般社団法人 コミュニティスペース うみねこ 代表

宮城県女川町出身。東日本大震災発災後、女川町で活動を始めた。活動を始めたきっかけは、多くの人が困っていたから。自分にもできることから始め、周りに手伝ってくれる人たちもいたので活動を始めることができた。そして何よりも〝生き残った人たちに生きていて欲しかった”から。震災で生き残った高齢者の方々が、なぜ自分が助かってしまったのか、もっと若い人たちが生き残るべきだったのにと、自分を責めていた。生き残った人たちに、どうしても生き続けて欲しかったという気持ちが一番強かった。これまで取り組んできたことは”必要な時に必要なことを届ける”こと。一番最初に取り組んだことは、避難所で子どもたちがうるさいと言われ、追いやられていたお母さんたちをサポートすること。お母さんたちをサポートすることで子どもたちも安定すると考え、お母さんが入浴したり休めるように、子守りの活動を始めた。その他にも高齢者の入浴サービス、子どもたちの遊び場作り、炊き出し、居場所づくり、震災後4か月目には手仕事作りも始めた。お父さんの仕事づくりや、お母さんたちが運営する食堂を開いたり、その時、目の前に必要とされることを次々と形にしてきた。そして現在は若者の雇用支援に取り組んでいる。人々のいきがい作りが自分たちの活動だと思っている。活動に関わる人たちも多種多様。最高齢は91歳。震災でどん底を経験した。明日生きられるかどうかという日々だった。どのようにすれば、周りの人たちを巻き込むことができるだろうかと考えた。投げかける言葉で人は変わる。言葉で人を巻き込み、人と人がつながり、面白い活動がどんどんうまれている。自分たちがもらった縁を全国につなげていくことが自分たちの役割だと考えている。熊本や西日本など他の被災地ともつながり始めている。自分たちの経験を共有しつながり、誰かの役に立てることで、また力を得ることができる。また、支援する人たちも支援を受ける人たちも、みんなに楽しんでもらうことを大切にしている。例えば、キッチンカーでさんまのたい焼きを作り売っている。歌も作り紅白出場を目指して取り組んでいる。楽しんでやることで、たくさんの人たちが応援してくれ、多くの人たちを巻き込んでいくことができる。関わり方は様々でいい。直接活動に関わらなかったとしても、頑張っているよねと見守ってくれている人の存在も大切。

 

<モデレーター>

河口真理子様 - 株式会社 大和総研 調査本部研究主幹

 開発援助においても、昨今いわれていることは、将来子ども育てることになる女子に投資することが、開発援助における様々な課題を解決する上で一番の近道であるといわれている。女性に投資することの意義は大きい。ただ、今の日本の社会では、女性が自立していこうとしたときに、様々な障壁がある。女性が意思決定できない、意思決定の場にいない、自己決定力が弱いということも言える。これは女性だけの問題ではなく、日本全体として自己決定力が弱い。教育の仕組みの中に、男女問わず、自己決定するプロセスを学べるようにするべきではないか。21世紀は女性的で共感型のリーダーシップが重要だといわれている。みんなの気持ちを盛り立てて、みんなで取り組みましょうという共感によるリーダーシップが、今世界中で求められている。本日のパネリストの皆さんのお話を伺っていると、まさにこの共感型で、リーダーシップという言葉もついていないような形で実践されているけれども、結果として、人を動かし、地域を動かし、地域の経済を動かしているのだとわかった。またお金の力も重要。事業をスタートさせるときには、例え50万でも大きな力となる。活かしたお金の使い方をどこでできるのかがとても重要。自分たちのお金が活かされるようにしたいと考えた時に”誰に託すか?”ということが重要になってくる。そうすると、そこにはきちんと目利き能力のある人が存在することが必要となってくる。

 

■あい基金ギビング・サークル創設のご案内

発表資料

 

 

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