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「渡邉利三シビル・ソサエティ基金」創設 ~700万ドル・11億円の運用型・永続型オリジナル基金により日本の非営利セクター強化を~

<1 基金創設の背景と経緯>

1-1 時代及び社会背景:新たな「シビル・ソサエティ」の構築

 日本の非営利セクター(NPOや公益法人等)は、高度成長期の社会のひずみを市民自らの活動で改善しようという動きを基礎として、また、阪神淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、さらにコロナ禍(2020年)などの危機状況に際して、被災者や被害を受けている人々を支えようと、ボランティアや寄付の増大がみられました。これに呼応して、特定非営利活動促進法(NPO法)の制定(1998年)、公益法人改革(2008年)、公益信託改革(2026年)などを通じて、非営利セクターの制度整備やフィランソロピー・寄付促進の基盤が整備されてきました。

 東欧革命(1989年)やソ連崩壊(1991年)の時代には、共生と協調の社会構築に向けて、欧米を中心に新たな「シビル・ソサエティ」確立の必要性と可能性が指摘され、日本の非営利セクター構築もその潮流に感化された側面もありました。

 戦後80年を経た現在、国内外を問わず、共生と協調の枠組みよりも、対立と排外の圧力の方がまさっている傾向が見られます。この枠組みの変化は、欧米のみならず日本国内でも顕著になっているように見受けられます。

 こうした時代において、改めて「シビル・ソサエティ」の構築を目指して、フィランソロピー・寄付の力を土台として、非営利セクターの強化を図る時代的要請があると考えます。

 

1-2 渡邉利三シビル・ソサエティ基金」の創設

 前記の時代的要請を踏まえ、2026年6月、日本の非営利セクターが社会の期待に応え、新たな社会システムをつくり出す力量を備えていくために、非営利組織の基盤強化を図ることを目指して、米国在住の渡邉利三氏の寄付により、「渡邉利三シビル・ソサエティ基金」がパブリックリソース財団に創設されました。

「渡邉利三シビル・ソサエティ基金」は、フィランソロピストとしての渡邉利三氏の志に基づき、末永く日本の非営利セクターを支援することを目的に、持続的に助成活動を展開する運用型の永続基金です。

 

1-3 経緯:フィランソロピスト・渡邉利三氏とパブリックリソース財団の協働

渡邉利三氏は、2008年より欧米で教育財団を設立以降、自身が受けた恩を若い世代に送るべく、フィランソロピーをライフワークとして展開してきました。日本国内を含めて、多数の公益財団法人を設立し、研究助成や奨学金により志ある後進を支援し続けています。

 2021年、渡邉利三氏は公益財団法人パブリックリソース財団に寄付を行い、難民の若者の高等教育機関への修学の支援を目的に「渡邉利三国際奨学基金」を設立されました。

 これを機縁に、渡邉利三氏とパブリックリソース財団の間で、日本社会の持続的な発展を目指し、日本の非営利セクターの充実、市民社会の創出に向けての協議が始まりました。

 2026年、「渡邉利三シビル・ソサエティ基金」をパブリックリソース財団に創設することを決断されました。パブリックリソース財団は、渡邉利三氏との信頼関係のもとで、渡邉利三氏の描く未来のビジョンの実現に向けて誠実に基金を運営してまいります。

 

 

<2 基金の趣旨・めざすところ>

2-1 シビル・ソサエティとは

「渡邉利三シビル・ソサエティ基金」は、非営利組織の組織及び事業基盤の強化を図り、非営利セクターが新たな社会システムと社会的価値を創出することを目的とします。NPOなどの非営利組織が社会を創造する力量とビジョンを備え行動するような「新たな市民社会」=「シビル・ソサエティ」の創造を目指します。

 

 なぜ、いま「シビル・ソサエティ」の創造が求められるのでしょうか。

 現在、第2次大戦以降の社会を形作ってきた秩序やルールが崩壊の危機に瀕し、国際的にもローカルでも分断と混迷が増大しています。政府は協調や連帯を導くビジョンを持たず、企業は長期的な視点をもった価値創造に取り組みづらくなっているように見受けられます。

 こうした危機の時代において、「市民による非営利セクター」の役割、つまり、共生と信頼、協調と相互扶助、自主性と個性の尊重などの社会的価値の体現が、必要とされています。

こうした価値を有する社会が「新たな市民社会」すなわち「シビル・ソサエティ」です。

「シビル・ソサエティ」を創造し、構成する主体がNPO(Non-profit Organization、民間非営利団体)です。現代社会においては、その果たすべき役割を明確にするためにCSO(Civil Society Organization)と定義した方がいいかもしれません。

 

 NPO・CSOは、政府や企業では対応できない社会的課題に、迅速かつ先駆的に取り組むことができます。(※1今田)なぜなら、社会の課題や変化に最初に気づくのは、諸課題の当事者(当の本人たち)だからです。当事者など社会の周縁にあって困難に直面している人々の声こそが、誰もが生きやすい社会をつくるための、小さくとも重要な第一歩であることは社会の歴史が証明しています。NPO・CSOは、当事者や当事者の周辺にいる人たちのコミュニティから発足し、いち早く社会のほころびや新しい課題に気づき、声をあげます。人々に寄り添い、価値観の転換や具体的な解決策を提示し、共に生きられる社会の仕組みづくりにつなげる実践や政策提案を行うことこそが、NPO・CSOが果たす役割です。

 

つまりNPO・CSOは「期待される社会を実現する担い手」(※2勝又)の役割を担うものです。NPOが真にCSOとして成熟し、「市民による非営利セクター」が政府や企業とも釣り合うだけの十分な力量を持つようになったとき、「新たな市民社会」「シビル・ソサエティ」が現出するといえます。(※3出口)

 

※注1、2、3について

注1 『フィランソロピーの思想~NPOとボランティア』(林雄二郎、今田忠編、日本経済新聞社 1999年3月31日)の今田忠氏の論考、および『概説市民社会論』(今田忠著、関西学院出版会、2014年10月30日)

注2 『アジアのNPO~台頭する市民社会』(GAP編、アルク出版、1997年)の勝又英子氏の論考

注3 『フィランソロピーの思想~NPOとボランティア』(林雄二郎、今田忠編、日本経済新聞社 1999年3月31日)第9章の出口正之氏の論考

 

 

2-2 本基金の目的とシステムチェンジの視点の重視

今NPO・CSOには、日本のこれからの社会、つまり人口減少社会における持続可能で公正な社会のありかたを提案することが求められています。例えば、次のような社会です。

・未来世代に残したい地球、日本社会、地域社会の姿

・人口が減少しても、人々がともに幸せにウェルビーイングを全うできる社会

・ひとりひとりが自分の人生を生ききれる力を持つことができ、発言や存在そのものが尊重される社会

 

このような持続可能で公正な社会を実現していくには、既存の社会・経済・政治的が抱える構造的な問題の根本を捉え、変換することが不可欠です。本基金では、表面的な対処策ではなく、問題を生み出している構造的な原因を明確にし、共有したうえで、その問題に直接対応する新たなシステムをつくり出す「システムチェンジ」の視点をもって活動する団体を支援します。

 

既存の助成金は目の前の困りごとへの対応や短期の成果を求める傾向があります。そのため、助成対象事業の多くはシード段階に留まるか、助成金頼みの事業継続に走りがちです。しかし本基金は、NPO・CSOが、例えば、人口減少と地球温暖化という条件のなかで持続可能で公正な社会を構築するというような、構造的な変革に継続的に取り組めるよう、以下の構成でNPO・CSOをサポートする事業を展開します。

 

2-3 本基金の構成(中期計画)

本基金では中期的には、①システムチェンジの担い手NPOの基盤強化プログラム、②システムチェンジを目指す事業の展開、③フェローシッププログラムによる次世代リーダーの育成 の三つのプログラムによって、システムチェンジの実現を促進します。

 

第一フェーズ(2026年度~2030年度)においては、まず「システムチェンジの担い手NPOの基盤強化プログラム」に集中します。

 

<参考>

第1フェーズ 2026年度~2030年度

 〇システムチェンジの担い手NPOの基盤強化プログラム

 

第2フェーズ 2030年度~2034年度

 〇システムチェンジを目指す事業の展開

 

第3フェース 2033年度~

 〇フェローシッププログラムによる次世代リーダーの育成

 

第4フェーズ 2037年度~

 〇上記3つのプログラムの組み合わせ・同時展開などを検討します

 

<3 2026年度計画>

近日中に、応募要項の発表を行い、申請を受け付ける予定です。

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